JCEIA 一般社団法人 日本化学品輸出入協会

関連資料

輸出貿易管理令別表第二35の3項の該非判定フロー

輸出貿易管理令別表第二35の3項は、ロッテルダム条約,ストックホルム条約やその他の国内法で規制されている有害化学物質の輸出を対象にしています。適用品目は輸出注意事項18第3号「化学物質の輸出承認について」別紙第1に記載されています。一方適用除外品目は同通達の別紙第2に記載されており、「別紙第2の適用除外に当たらない限り、輸出承認が必要」とされておりますが、別紙第2の記載内容が理解しづらく、輸出事業者にとって輸出承認申請が必要かどうかの判断が難しいという状況にありました。
そこで当協会の貿易管理委員会にて別紙第2の記載内容を判定フローとして判り易くし、輸出承認申請が必要かどうかの判断ができる「該非判定フロー」を作成しました。35の3項の該非判定においてご活用いただければ幸いです。なお、内容については当委員会として十分な吟味を重ねたつもりではありますが、ご自身の責任においてご活用いただくようお願い致します。

2021年12月24日

【ご活用の一例】

別紙第2の適用除外は、輸出しようとする貨物の中に別紙第1に掲げる化学物質が非意図的に含有されている場合を対象にしています。

(1)自社で製造した化学品の場合

先ず初めに、自社で製造した化学品に「規制物質リスト」に記載の化学物質が含有している可能性があるかを、化学構造式を参考にご確認ください。規制物質は非意図的に生成することもあるため、生成が起こり得る可能性のある物質についてもご検討ください。次に含有している可能性がある規制物質について、フローの一番上の項目である「貨物(商品)の中に別表第二 35の3項で規制される化学物質が含まれるか?」についてご回答ください。存在が確認されていなければ輸出承認申請が不要となります。存在が確認又は測定されていた場合は、順次フローにしたがって判定してください。

(2)購入原料の場合

「35の3項の該非判定フロー」と「規制物質リスト」を購入元に提示し、(1)の
手順にしたがって当該化学品が輸出承認申請をする必要があるかどうかの情報を入手してください。

【判定フロー中の用語の解説】

標準物質

この場合の標準物質とは、当該規制物質を定性分析又は定量分析するための指標となる物質を指す。日本産業規格(JIS)Q0030に定められるものであり、その旨を認証機関が発行した証明書、これらの物質の製造業者が作成した技術資料、SDS等において確認できる場合は輸出承認申請が不要となる。

非意図的含有

目的とする成分以外に化学品に含まれる、意図した反応とは異なる反応により生成したもの等をいう。意思を持って混入、又は化学反応で発生させた場合は意図的含有になる。意図的・非意図的判断の目安として化審法第一種特定化学物質以外では別紙第2の閾値*が設定されている。

化審法第一種特定化学物質

「難分解性」、「高蓄積性」及び「人の健康又は高次捕食動物への長期毒性」という三つの性状を併せ持った化学物質として化審法第二条第二項において定義されており、化審法施行令で定められている34品目をいう。ストックホルム条約附属書Aに収載された化学物質は、国内では化審法第一種特定化学物質として担保されることになっている。化審法第一種特定化学物質の場合はたとえ非意図的含有であったとしても、存在が確認又は測定されたら輸出承認の対象となる。

BAT値

化審法運用通達3-4「不純物として含まれる第一種特定化学物質に該当する化学物質の取扱い」には下記のように規定されている。
「第一種特定化学物質に該当する化学物質が他の化学物質に副生成物として微量含まれる場合であって、当該副生成物による環境の汚染を通じた人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがなく、その含有割合が工業技術的・経済的に可能なレベルまで低減していると認められるときは、当該副生成物は第一種特定化学物質として取り扱わないものとする。」
これが「利用可能な最良の技術(BAT:Best Available Technology/Techniques)」の原則と呼ばれるものであり、製造元は個別にBAT報告書を三省(経産省/厚労省/環境省)に提出し、受理されればBAT値が個別に設定される。含有量がBAT値以下の場合は、第一種特定化学物質として取り扱われないため、輸出承認申請は不要となる。

*輸出注意事項18第3号「化学物質の輸出承認について」別紙第2の1-(3) に記載の閾値